ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

川西久代郵便局(兵庫県)

赤い柱が目印の明るい郵便局

兵庫県の南東部、大阪との県境にある川西市。市の歴史は長く、古くは縄文・弥生時代から人が住み始め、さらに清和源氏の発祥の地として知られています。30~40分ほどで大阪や神戸にもアクセスできることから、ベッドタウンとして発展してきた川西市は、南北に伸びる縦長の地形が特徴です。その南端近くに、川西久代郵便局はあります。

開局は、太平洋戦争の真っただ中の1943年(昭和18年)。当時、地域の機械メーカーが軍事工場として使われるようになった際、近くに郵便局がなかったことから設置を決めたのが始まりです。入口近くに立つ2本の赤い柱が目を引く局舎は、大きな窓からたっぷりと日が差し込み、「とっても明るい」と地元で評判です。

“小さなサプライズ”でワクワクさせる

明るいのは建物のつくりだけではありません。川西久代郵便局では、訪れた人たちが楽しく過ごせるように、“小さなサプライズ”を意識した運営を心掛けています。

バレンタインでのチョコレートのプレゼントや、カボチャの帽子などのアイテムを身につけて接客する10月のハロウィンは、季節のイベントに合わせた定番のサプライズです。また過去には「局長ファンクラブ」を発足させ、金髪のヘアウィッグでアイドル風にキメた局長のポスターをつくってクスっと笑えるPRをしたこともあるとか。雨の日もプチラッキーな気分を味わってもらうために、キャンディーをサービスしています。

また、利用されるお客さまが“使いやすい”と感じられるような工夫にも力を入れています。

例えば、記念切手の陳列に用いる「かけるくんシステム」は、ハンガーラックをアレンジした手づくりのアイテム。コンビニで買い物する時のように、お客さま自身が直接切手シートを手に取ることができます。このアイデアは郵便局の「顧客満足コンテスト」の近畿東海ブロックで、準優勝を獲得しました。またお子さま連れの方でも安心して利用できるように、本やおもちゃ、グッピーでいっぱいの水槽も用意。社員も気づかない意外な場所に身長計を設置するなど、お子さまを飽きさせない仕掛けも揃っています。

20年続く手づくり情報紙『ぜんざい』

リピーターの多い川西久代郵便局には、お客さまと社員を結ぶ強力なアイテムがあります。社員手づくりの情報紙、月刊『ぜんざい』です。発行当時に実施した、ぜんざいを振る舞うイベントからその名がついた『ぜんざい』は、窓口を訪れるお客さまに手渡しされます。全ての社員がそれぞれのコーナーを持ち、毎号気になるお店や旅の情報、健康トピックなどを紹介。郵便局の商品の宣伝や営業的な内容ではなく、「読者が知りたいこと」を載せることが人気の秘密のようです。

プレ創刊の時期から数えて230回ほど発行しており、今では『ぜんざい』目当てに窓口を訪れるお客さまも多いとか。記事の内容を話題に、コミュニケーションが生まれることも多いそうです。そのため社員たちも、「これは『ぜんざい』で紹介しよう」と、身の回りのことをビビッドに捉えるようになったそうです。2017年には創刊20周年を迎え、長く地域に愛される媒体となっています。


「郵便局はテーマパークであるべき」という思いから、既存のイメージを覆す郵便局づくりを続けてきた、川西久代郵便局。

窓口で月刊『ぜんざい』を受け取れば、きっとワクワクした気持ちになれることでしょう。