ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

東条郵便局(千葉県)

鴨川の住宅街に建つ、100年を超える郵便局

千葉県の南東部に位置する鴨川市。房総半島の太平洋側に面し、海岸に出ればどこまでも青く続く大海原が目の前に広がり、海岸線は美しいカーブを描いています。一方、内陸側は大山千枚田をはじめとする里山の景色が今も残っています。海と山の豊かな自然が調和し、ゆったりとした時間が流れるこの町には大型の総合病院もあり、多くの方々が遠方から訪れています。

そうした鴨川の海岸側、有名な観光スポットとなっている「鴨川シーワールド」からほど近いところにあるのが東条郵便局です。開局から100年以上経ち、現在の局長は開局者から4代目を数えます。

住宅街の一画にあるこの郵便局は、目の前に県道が走っており、車で訪れる利用客が多いといいます。そこで立地のメリットを生かし、独自のサービスを展開しています。

それが、ドライブスルーです。

ドライブスルーでサービスを利用できる

ドライブスルーを開始したのは、2003年のこと。ちょうど日本郵政公社が発足されたタイミングと重なります。何かユニークなサービスができないかと考え、実現したアイデアなのだとか。

ポストや自動販売機を利用したドライブスルーは他の地域にもありますが、対面サービスを受けられるドライブスルーは、全国で唯一です。手続きに時間がかかる場合を除き、ほとんどのサービスを利用することができます。

チャイルドシートに子どもを載せているママや、足の不自由な方などから特に好評で、時には目の不自由な方がタクシーで訪れたりします。サービス開始から10年以上経ち、地域の方々にしっかり認知されていて、雨の日は濡れることなく郵便を出せるとあって、利用者はさらに増えます。

また、ドライブスルーによる対応でも局員の負担が増えないように設計を工夫し、利用客と局員双方にとってメリットのあるサービスになっています。

鴨川に訪れるリピーターを増やしたい

地域に根差した存在となるために、地元に住む方たちが持つ特技や強みを郵便局づくりに生かすこともあります。

その一つが、郵便局の塀を利用したウォールアートです。時代を代表する数々のアニメのヒーローがカラフルな色彩で描かれており、郵便局に訪れる人の目を楽しませてくれます。また、2012年にはテレビシリーズとして放映された、鴨川が舞台のアニメ『輪廻のラグランジェ』のキャラクターも仲間入り。今も、ウォールアートをひと目見ようと、ドライブスルーを利用するアニメファンがたくさん訪れます。

また、地域の他の郵便局と連携し、夏休み期間などは鴨川シーワールドでの切手等の出張販売にも参加。シーワールドオリジナルのフレーム切手は、イルカやペンギンといった海に住む動物たちの写真が可愛らしく、来場客に人気の商品になっています。

ウォールアート目当てで郵便局を利用する方も、鴨川シーワールドで切手を買う方も、その多くは観光客です。しかし、彼らが再び鴨川を訪れるようなリピーターとなってくれれば、という思いを心をこめて接客をしているといいます。

広い海や豊かな緑に囲まれ、自然の大らかさが感じられる鴨川の町。今日も、手づくり感あふれる郵便局は鴨川を訪れる方々を温かく迎えています。