郵便局の地方創生

地域に根ざす郵便局が行なっている様々なサービスや取り組みをご紹介します。

はがきを用いた中学生たちの震災復興レポート

東北地方会
岩手県 西部地区
前沢郵便局 菅原健一局長


沿岸部の復興のようすがわかる


岩手県奥州市にある前沢郵便局では、2016年6月20日より行われている、地元の中学生の学習展示が話題となっています。

展示されているのは奥州市立前沢中学校の2年生が作成した作品で、5月の遠足で県内の沿岸地域を訪れた時の様子をまとめています。各クラスが訪れた、山田町、釜石市大槌町、陸前高田市、大船渡市は、東日本大震災では特に被害の大きかった地域です。遠足当日、生徒たちは現地ガイドと共に震災関連の施設や復興が進むスポットなどを巡り、現地の人の話を聞きながら、震災から5年経った町の“今”を肌で感じてきました。

生徒たちは当日の体験から得られた気づきや学び、さらに防災に対する考えなどを1枚のはがきにまとめ、さらにクラスごとに模造紙を使って各地の様子を紹介しています。

教材の配布が展示のきっかけに

今回の展示が企画されたのは、教材「手紙の書き方体験授業」の配布がきっかけです。この教材は、学校教育で重視される「言語活動の充実」の一環として、授業で手紙を書くことを取り入れることを目的としたもので、日本郵便が希望する小・中学校および高校に無料で配布しています。

前沢中学校でも、この教材を利用することになり、前沢郵便局から配布されました。しばらくして活用の様子をたずねたところ、教材に付属されるはがきを遠足の学習記録に利用することを知り、校内展示の後に郵便局でも展示をしようという運びになったのです。

限られたスペースの中で校内展示を再現し、さらに郵便局を訪れる人たちにとって見やすくなるように、中学校の先生も協力してもらいながら展示の準備を進めました。

子どもたちの想いが詰まった展示

展示が開始されると、日頃郵便局をご利用されている方だけでなく、生徒のご家族や前沢中学校の関係者、さらに地元のクラブ活動で生徒たちと関わりのある方などが訪れて、はがき1枚1枚に目を通していきました。また、震災を機に沿岸部から内陸にある前沢に移り住んで来たという人もいたようです。

はがきには、仮設住宅での暮らしを余儀なくされながらも、地域に住む方たちが力を合わせて町を盛り上げようと、一歩一歩前向きに復興に取り組む姿勢に心を打たれたと、多くの生徒たちの感想がつづられています。

子どもたちの想いが詰まった展示を前に、「当時のことを思い出した」「元気に頑張る姿が伝わってくる」という声が聞かれました。

今回の展示は、2016年7月1日まで開催しています。