ZENTOKU 2021年夏号
5/16

05手作業省力化を推し進めた郵便番号導入1968年に稼働した郵便番号自動読取区分機(東京中央郵便局)★郵便にもたらされた技術革新郵便局のユニバーサルサービスは草創期から 世界に冠たる日本の郵便制度は、新時代の、まさに明治維新期の国家事業であった。 国は新式郵便の取扱いを開始した1871年に3ヶ所の郵便役所と62ヶ所の郵便取扱所をつくったが、日本全国に、そのサービスを展開するための財政事情は十分ではなかった。そこで前島は、国家事業でありながら、民間人の登用と民間資産の活用を進めた。 全国各地の名士に「郵便事業にたずさわらないか」と募集をかけ、その声に全国各地の名士らが応えた。彼らの高邁な志により、創始の翌1872年には北海道から九州まで、1年半足らずの期間で全国に広がる郵便ネットワークが誕生した。 郵便事業に加わった全国の名士らには大きな特徴があった。一つは局舎として自宅を無償で提供するというボランティア精神。そして、国の発展に向け時代の担い手となるベンチャースピリット。 時代の変革のなかで多くの国民に受け入れられ、地域の活性化に繋がる郵便局のユニバーサルサービスは、草創期から始まったのである。ネットワークの利活用と期待される役割 そして今、地方創生という時代の要請を受けて、少子化・高齢化社会に郵便局のネットワークを活かし、その利活用に積極的に取り組むべきという声は多い。 地方創生はすなわち地域社会の再生・発展である。地域に視点を向けたとき、その地域に存在する郵便局には大きな期待が寄せられている。どのような役割を果たすべきか、郵政事業には創業200年に向かって大きな課題が課されている。 郵便番号の歴史は1857年に、グレーター・ロンドン(32のロンドン特別区とシティ)市内を10の郵便地区に区分けし、それぞれにアルファベット1文字または2文字のコードを割り振ったところから始まる。その後、第一次大戦を契機にヨーロッパの大都市に拡大していったが、大都市に限られており、全国的に制度化された近代的郵便番号システムが導入されたのは、1932年11月ウクライナ・ソビエト社会主義共和国において実施された。 日本では1968(昭和43)年7月1日に、3桁または5桁の郵便番号が導入された。光学文字読取技術(OCR)を使用した世界初の自動読取区分機を採用し、それまで手作業で行っていた郵便物の区分にオートメーション化が図られることとなった。 1998(平成10)年2月2日には、それまでの郵便番号の末尾に4桁または2桁を付け加えた7桁の郵便番号が導入開始となり、町域や大型ビルの階層までも個別の郵便番号で指定できるようになった。7桁の郵便番号導入にあたっては、自動読取区分機の機能が向上し、番地とあわせてバーコード化(透明な特殊インクで付される)され、郵便物を配達順にまで並び替えることができるようになっている。1968(昭和43)年7月1日発行 郵便番号のある日本地図にシンボルマークの図柄が描かれており、郵便番号周知用として発行された。★

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る