ZENTOKU 2021年春号
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県境を活かす 石川県・福井県境に位置する吉崎において、売・り・の一つとなるのが「県境」です。世の中には県境、境界線マニアの方がいるそうで、県境や境界線と言われる場所を歩いては、その歴史等に思いを馳せるのだそうです。そんな県境の地をPRするため、あわら市と加賀市の観光協会や商工会の力をお借りして、県境地域住民同士がチームを組んで綱引きを行い、勝ったチームが「県境」を1メートル相手側の土地に移動させることができる県境綱引きイベントを毎年行っています。 吉崎郵便局ではこのイベントへの協賛を募ったり、イベントへの参加等で協力させていただいています。このイベントを通じて両市の親睦を深め、来賓の議員や市長、警備にあたる警察官、報道陣も双方の県から訪れ、来賓も綱引きに参加するなど、県境を隔てた両市が一つになる光景は大変珍しく興味深いイベントになっています。住民の方々皆が集う子ども食堂 小学校がなくなってしまった地域に再び子どもたちの声を取り戻そうと、昨年からお年寄りから子どもまで皆一緒にご飯を食べて楽しく過ごす場を提供する、子ども食堂「テンプル食堂よしざき」を吉崎西別院で毎月最終日曜日に開催しています。私も郵便局長として食材の提供、参加への呼びかけや、広報活動等を通して協力させていただいており、今では毎回一〇〇名ほどが参加する大きなイベントになっています。過疎地域では人が集まるだけでも大きな活力になります。また昨年から新型コロナウイルスの影響により、毎年行っている各種行事や祭り等も軒並み中止となり、地域の活気が益々なくなることに本当に危機感を感じていましたが、子ども食堂で目にする子どもたちや地域の皆様の笑顔に力をもらっています。そしてこれから  二〇二一年は吉崎御坊開創五五〇年を迎えるため、この節目に地域では一般社団法人を立ち上げ、法要、稚児行列のほか、婚活事業や子ども歌舞伎なども企画しています。蓮如上人の偉業を発信し、少しでも過疎地域である吉崎エリアの再興に繋げていくことが目的です。事業にはもちろんご紹介した綱引大会や子ども食堂も組み込んでいきます。また、二〇二三年には、この吉崎に、あわら市として初めてとなる道の駅が整備されることが決まり、これまでの活動が少しずつ実を結びつつあります。それでも、過疎地域としての状越前・加賀県境綱引き皆が集う子ども食堂(上)子どもは無料、大人300円。ロゴマークが可愛らしい。(右)子どもと同様、ボランティアの皆さんの笑顔も輝いています。(下)検温、マスクは勿論のこと、食事の際はソーシャルディスタンスも確保。県境を掛けた戦い。勝つのはどっちだ?県境を掛けた綱引きイベントのチラシ。残念ながら悪天候、コロナで2年続けて中止となった。況が一気に変わるわけではありません。どうしても過疎化は止まらないし無駄だよと仰る方もいます。しかし、これまでお世話になってきた地域が、ただ衰退していくのを黙ってみている訳にはいきません。これからも地域に根ざした郵便局という立場を活かし、少しでも地域を前向きにする活動を続けていきたいと思います。13

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