ZENTOKU 2020年秋号
16/16

前島密の愛用品拝見❷2020年10月発行 編集・発行・全国郵便局長協会連合会 〒106-0032 東京都港区六本木1-7-27 TEL:03-3505-4830 http://www.postmasters.jp広報 ZENTOKUPostmasters magazine前島密は、たくさんの漢詩や扁へん額がく*などを残しています。手紙や重要と思われるメモ書きも、なか夫人の管理により、整理され保存されていました。今回ご紹介する英語手控帳は、まだ前島が結婚する前のものと思われ、保存状態からも大切に使っていたことが偲ばれます。 前島密は、12歳でオランダ医学を学ぶため江戸に遊学、以来苦学を続けながらオランダ語を学んでいましたが、21歳の頃、岩いわ瀬せ忠ただ震なり(外国奉行として活躍。幕末の三傑と称される。)に「これからは英語を学ぶべき」と言われ、英語に対する認識を改めました。 しかし、英語を本格的に学んだのは、28歳(1862(文久2)年)の頃、長崎に滞在して以降とされています。 30歳のとき、薩摩藩に招しょう聘へいされ、藩校「開成所」の英語教授となって赴任した際、薩摩藩から宝物を見せると言われ重臣が恭うやうやしく運んできたのが「ウエブスター辞書(1828年版)」。 長崎で見知っていた前島にとっては、特に珍しいものではなかったと述懐しています。  (前島の年齢は数え年)英語手控帳 新潟県上越市の前島記念館に収蔵されている前島密直筆の「英語手控帳」。英語を勉強した際のノートと思われます。 10枚にわたって、横罫線の引かれた筆記用紙に筆書きされており、かなりレベルの高い単語ばかりです。このことから長崎の滞在中に学んだ時に作成した手控帳で、長崎、鹿児島で使用していたと考えられます。*部屋の中や門・入口などに掲げる横に長い額のこと。〈前島記念館収蔵〉

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る