ZENTOKU 2020年夏号
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リーダーインタビュー13えるかが大きな課題です。市政としても経済構造を一八〇度転換し、農業の集積地だとか大きな工場や産業を誘致するといったことはできず、一方で他地域との差別化も求められます。今、新しい観光のあり方を模索中です。   今求められる地方創生の視点―地方創生の視点も重要になってきました。 そうですね。地方創生は第二次大戦後ずっと持ち続けてきた視点で、古くは列島改造のもと都市に資本を集中させ、人も集中してきた。ところが、高等教育を都市で受けた若者がUターンしてこなかった。その結果、資本も人も都市に集中し続けてきましたが、それは致し方ないことだと思っています。 その状況を踏まえた地方創生を考えなければなりません。単純に高山市の人口が増えて潤えばいいという話ではなく、他地域との連携の中でどうあるべきかという面も意識する必要があります。―地方創生における郵便局の役割をどうお考えでしょうか? 郵便局の全国網、ネットワークには目を見張るものがあります。ただ役割としては、郵便局はこれまで地域経営に関わってこなかったのも事実で、郵便物の集配や貯金・保険など地域の市民生活の―高山市はかねてから観光には力を入れてこられましたが、新型コロナ感染症によって、いったんは全て休止状態ですね。まず、今の状況をどう受け止めていますか? 高山市は二〇一六年に市制八〇周年を迎えましたが、そのうち戦後の五〇、六〇年以上は観光に力を入れてきました。地元に暮らす立場から見ると大きな産業はないので、「自分たちが持っている資源を生かして地域を維持、発展させていく」発想が大事でした。 今の観光資源は、文化や自然景観など先人が地道に守り、育ててきた結晶とも言えます。おそらく最初の一〇年、一五年は認知してもらうための投資期間だったと思います。それでもあきらめずに観光に力を入れ続けてきた。素晴らしいことだと頭が下がりますね。―ところが今、新型コロナの問題が大きな影を落としています。 そう。秋の高山祭も中止せざるを得ず、観光施設なども六月の今はほとんど休業状態ですから、観光施策も土台からつくり直さないといけません。 観光は人を迎えて初めて成り立つので、人が交流できる体制を一からつくらないといけません。それを地域の方々にどう訴え、どう意識してもら2177.61㎢と東京都に匹敵する面積を有し、日本で一番広い市である高山市。歴史ある町並み、山岳景観、高山祭など観光資源が豊富で、多くの観光客を迎えてきたが、新型コロナ感染症は観光都市・飛騨高山にも大きな影響を与えた。國島芳明さんは、高山市役所に勤務し副市長になり、10年前から市長として市政を預かっている。國島市長は現下の状況をどう捉え、今後、どう対応していくのか。これまでの観光への取り組みをうかがった。                 (インタビュー日:6月19日)高山市岐阜県高山市長國くにしま島 芳みちひろ明さんWithコロナ時代のWithコロナ時代の地方創生地方創生とと観光施策観光施策落ち着いた高山の町並み(上)と飛騨地方の民芸品「さるぼぼ」(右)。 「さる」→災いがさる、「ぼぼ」→飛騨地方で赤ちゃんのこと。06

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