ZENTOKU 2020年夏号
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前島密の愛用品拝見❶2020年8月発行 編集・発行・全国郵便局長協会連合会 〒106-0032 東京都港区六本木1-7-27 TEL:03-3505-4830 http://www.postmasters.jp広報 ZENTOKUPostmasters magazine昨年(2019)没後100年を迎えた前島密。今号からは、前島記念館収蔵品の中から、愛用品をご紹介し、前島の素顔に迫ってみたいと思います。 武家の礼装である烏帽子と直垂。明治5(1872)年太政官布告後、礼装が洋服に統一されたため、公の場で着用する機会はありませんでした。 しかし、前島は明治40(1907)年、烏帽子姿を描かせ自ら賛を添えて軸に仕立てています。慶応2(1866)年前島家の養子となり、武士となった前島。武士の心を大切にしていたことが伺えます。烏帽子姿の前島密(70歳)を描いた軸。奥おく田だ芳ほう彦げん画。『郵政省逓信博物館資料図録№30』(昭和60年)にも掲載されているが、実物は現在所在不明となっている。洋髪で、直垂を纏まとった前島密。撮影は明治3(1870)年。民部省改正掛として勤務し、租税権正、駅逓権正兼務となり、新式郵便創業の建議を提出した年である。烏え帽ぼ子しと直ひた垂たれ 〈前島記念館収蔵〉〈郵政博物館提供〉〈郵政博物館提供〉前島密が着用した烏帽子と直垂。直垂はもともとは庶民の労働着として発達し、江戸時代になると、直垂は将軍以下諸大名、三位以下侍従以上の大礼服となり、白小袖に直垂、風かざ折おり烏え帽ぼ子しというのが武家の最上の礼装となった。

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