ZENTOKU 2019年秋号
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|多くの観光客にお越しいただき、あらためて思うことは?「空間」が大きな観光資源になるということですね。まちなかには町道から縦横に道幅九〇センチほどの細い路地が伸びています。牛を曵いて歩ける幅の里道ですね。そこに佇むと、時間がとまったような感覚を抱きます。「時間が流れない空間」が、とかく急ぎ足で通りすぎる現代にあって逆に観光資源になることをあらためて感じました。|ところで、山間地の活性化はどうでしょう? ここは柿のなかでも日本でいちばんおいしいとしょう。冷静に見て、自然災害の防災には行政の限界もあります。すると町がとるべき対策は、災害後の、被災した場合の早急な復旧対策になると思っています。平時の見守りから協力いただいている郵便局に果たしていただく期待は大きい。 幸い九度山郵便局には一度は隣の橋本市に移管された集配事業を復活していただきました。配達の際のちょっとした声かけなど「コミュニケーションの距離の近さ」がとても大事なんです。|岡本町長が日々大事にしている思いがありましたら教えてください。 私はこの九度山という町が大好きで、町長になりました。住民の一人として皆さんと協力して町を盛り上げていきたいですね。今は、町の商店街のシャッターをもう一度開けてもらいたいと活性化に取り組んでいまして、少しずつ実績も生まれてきています。九度山町役場との連携のもと、役場の駐車場が富有柿のゆうパックの集積場になる。 初冬まで枝に残し特別に大きく育った柿は、1個5000円をつけるものもある。いわれる「富有柿」の産地です。 産業としては柿をはじめとした一次産品がまず重要ですが、最近はその一次産品を生産し、加工して販売まで手がける六次産業化を若い人を中心に進めています。既存産業を活かして新しい産業を生み出していく。町としては、販路の開拓や確保などの支援を行っています。その点で郵便局のカタログギフトも貢献いただいていますね。|町民ファーストの施策が最大のテーマですね。 人口の維持増加は町の将来に直接関わるので、打てる対策はすべてやっています。居住支援としては新婚家庭への家賃の半額補助とか、家を建てる世帯への一〇〇万円の補助などを行っています。 山間地域の構想としては、現在の杉・檜の植林を広葉樹の森に転換していってはどうかと考えています。その方が土壌の保水力が増し、災害に強い町づくりにもつながります。その広葉樹の森で可能な林業関連の事業も再構築していく。息の長い取組みですが、不可能ではないでしょう。     郵便局の果たす役割|町に郵便局が果たす役割はどのような部分? まず、防災の点。町には紀の川に沿って和歌山市内、香川・愛媛県へと中央構造線が走っていますので、直下型地震と無縁というわけではないでINTERVIEW大阪の中心部まで1時間強という自然豊かな住環境に恵まれた通勤圏。住みやすい条件の一つに、コミュニケーションの近さがある(岡本氏)07

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