ZENTOKU 2019年春号
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青い海に映える白亜の日御碕灯台 古代の文化遺産の出雲市にある近代化遺産は、島根半島の最西端の断崖にそびえる「出雲日御碕灯台」。地中海を思わせる青と白のコントラストが美しく、また夕暮れ時の景色も人気があります。空一面が赤く染まり、水平線に沈みゆく太陽とそこに浮かぶ灯台のシルエットは必見です。 明治三十三(一九〇〇)年に着工し、明治三十六(一九〇三)年四月一日に初点灯しました*1。石造灯台としては日本一の灯塔の高さを誇り、真っ白な外壁は、松江市美保関町で切り出された硬質の石材、内壁はレンガ造りで、外壁と内壁の間に空間を作った特殊な二重構造になっています。その光は約四〇㎞沖合まで夜の海を照らし、百歳を越えた今なお現役で海の安全を守っています。 平成十年に「世界の歴史的灯台100選」に、また平成二十五年には国の登録有形文化財に選ばれました。天然記念物ウミネコの聖域・経島日御碕灯台から遊歩道を日御碕神社に向かって歩くと、天あま照てらす大おお神みかみが日御碕神社に祀られる以前に鎮座されていたという経ふみ島しまを*2望むことができます。面積約*1 現在は、海上保安庁の管轄であるが、明治36年の初点灯時は逓信省(後の郵政省。現在の総務省)の管理下に置かれていた。明治36年は、通信管制の改正により、郵便局・郵便電信局・支局などのすべてが『郵便局』に統一されることになった年でもある。『郵便電信局』とは、明治19年、郵便局と電信分局が合併したことにより両業務を取り扱っていた郵便局。長崎郵便電信局を皮切りに、全国に郵便電信局が誕生していた。*2 柱状節理(岩に入った柱状の割れ目)の形状が「経典」を積み重ねたように見えるためその名がついたと伝わる。日御碕神社の神域として神職以外の一般の立入りは禁止されており、年に一度、宮司だけがその島に舟で渡ることができる。稲佐の浜から日御碕灯台へ続く日御碕街道から、日御碕神社を俯瞰することができる。赤い楼門(写真左)をくぐると、正面に「日沉宮」(写真中央)、右手の石段上に「神の宮」(写真右)がある。本殿の「蟇かえる股また」(上部を支えるための蛙の股のような建築部材。蛙股とも表記する)には、竜、松などの吉祥の彫刻のほか、地域の名産のブドウや椿の花などが施されている。03

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