ZENTOKU 2018年秋号
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していかなければなりません。これ以上人口が減っては、自治体として成立しなくなってしまいます。 村議会議員は六名ですが、一名は八十歳を超えています。その他にも高齢を理由に勇退を希望されている方がいて、二年後に迫った村議会選挙で立候補者が足りない事態も考えられます。 同じような悩みを抱えている他の自治体との合併では、根本的な問題は解決しません。他の自治体と連携していくことは、とても重要なことですが、合併とは違います。村民が自治を行うことは、大きな意義があります。 防災の観点から考えると、分かりやすいかもしれません。市となって、防災の指令拠点が離れた地点にあると、機動力が分散してしまいます。ましてや、近年起こると想定される南海トラフ地震が起こったら、小さな村は後回しになりかねません。 私はよく村民の方から「村長は冷たい(笑)」と言われたりします。というのは災害が起こった場合「自分の身は自分で守ってね」と言っているからです。郵便局長さんたちはほとんど防災士でいらっしゃるので、ご理解いただけると思いますが「自助」があって「共助」「公助」です。もちろんいち早く助けに駆けつけたい気持ちはありますが、現実論「自助」してくれなければ、「公助」が発動したときでは手遅れになります。大切な全村民の命を守るには、自覚して行動していただくしかないのです。 かつての村役場は早さ明め浦うらダムに沈んでいます。このダムは四国地方最大のダムで、「四国のいのち」とも称されるほど、四国の市民生活に多大な影響を持つ施設です。しかし、大川村は主要な集落がダムに沈み、過疎化に拍車がかかる結果を招きました。──観光から定住に繋げていくため、どのような取組み、PRを行っていくのかお聞かせください。 大川村の主要産業は、農業と林業、畜産業です。中でも畜産の特産品「大川黒牛」や「はちきん地鶏」は折り紙付きの美味しさで、高評価をいただいており、産業の柱として育てているところです。 また、毎年十一月三日に開かれる「謝肉祭」は、大川牛とはちきん地鶏のバーベキューをお腹いっぱい楽しめる大川村最大のイベントです。この日は全国から住民の四倍ものお客さまが集まり、大いににぎわいます。チケット制なものですから、すぐ完売となるほどです。リピーターも多く、特産品として需要に応えるだけの高知県の木材をふんだんに使用した大川村役場。大川郵便局。大川村役場から徒歩1分。体制を整えるよう、施策の展開を図っているところです。──IターンUターンのご家族もいらっしゃるとうかがいました。移住・定住に向けてどのようなことに力を入れていらっしゃるのでしょうか? 雇用の創生は必要不可欠ですが、子育て支援に力を入れています。例えば保育園・小中学校の給食費は無料です。大川村集落活動センター結いの里内にある給食センターで、地元の農作物を使って作っています。また、小規模だからできる学年を超えた交流や、外国人による英語教室、伝統芸能である花取り太刀踊りの継承など、多方向での教育の充実を図っています。大川村全員で育てる気持ちで取り組んでいます。──地方創生に関して郵便局に期待する役割や取組みについて考えをお聞かせください。 もちろん、郵便局はなくてはならない存在です。全国ネットワークを持つ郵便局には、特に物流の面、情報発信の面では頼りにしていますが、四〇〇人の村ですから、何事も皆でもり立てていかなければなりません。 大川村の存続と発展のために、これからも地域の一員として協力していただきたいと思います。19

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