ZENTOKU 2018年冬号
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復興への長い道のりの中、防災力を高めようとの熱意が伝わる会場鳴った場合の対処方法についての説明があり、天災にとどまらずあらゆる災害に対する意識の高さを喚起させる始まりとなった。 講師の齋藤徳美氏は防災士育成に尽力してこられた方で、地震・火山災害・集中豪雨、とさまざまな災害の事例をあげ、 “地球が生きている限り災害はなくならない”との共通認識を持った上で、災害は予測できないということを胸にきざみ、備えを怠らないことが重要と述べられた。中でもこれまでの経験から、近所づき合い・自主防災の重要性を掲げ、地域に密着した防災士として活躍していただきたいと、参加者に期待を寄せた。 続いて活動発表に移り、鈴木氏は、防災士活動の際には“わかりやすく、やさしく”を心がけていると言い、次世代を担う子どもたちにいかに興味をもってもらうかということに腐心していると発表した。 また、田中氏は、被災から六年が経ち、子どもたちの心の被災が表に出てくる時期だと述べ、ゲーム的要素を取り入れた楽しみながら防災技術や意識が身につくような防災訓練を計画してほしいと発表した。 最後の発表者である武藤局長は、東日本大震災の経験を防災ワークショップで活かしていると報告。避難勧告の信頼度は、減災の大きなキーポイントとなるので、防災士による発信を生かすことが重要との提言があった。列島縦断 防災・減災公開講座in 熊本鍬ヶ崎局長 武藤元氏 九月二十三日に行われた熊本会場のホテル熊本テルサでは、大西一史熊本市長による「平成二十八年四月熊本地震時の熊本市の対応及び教訓」と題する特別講話に続き、北園芳人熊本大学名誉教授の基調講演、コーディネーターに澤田道夫熊本県立総合管理学部准教授を迎え、四名のパネラーによる防災シンポジウムと、盛りだくさんの内容で行われた。 大西市長の講話では、まだ二年も経たない熊本地震から現在に至るまでの経過と報告があり、震度7の前震後に本震が起こるという従来の概念を覆した地震であったこと、家屋の倒壊等、地震が直接の原因で亡くなられた方は五十名であるが、避難生活によるストレスや持病の悪化等で未だに亡くなる方がおられ、地震後のあり方を検討する必要性について問題提起があった。修復が進む熊本城。復興のシンボルとして天守閣は2019年までの完成を目指す。城全体は2036年を目標として復旧工事が行われている。09

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