ZENTOKU 2017年9月特別号
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地方創生❸ 湯沢町 湯沢町では地方創生の取組みとして、「湯沢町人口ビジョン」と「湯沢町総合戦略」を二〇一五年一〇月に策定しました。人口減に歯止めをかける 人口ビジョンについては、その自治体の人口動向を分析し、将来展望を描きやすくする狙いがあります。 湯沢町の人口は二〇一七年五月末現在で八一三〇人。湯沢町の人口動態すなわち出生数と死亡数の差は二〇〇二年より出生数が死亡数を下回り、自然減の状態がずっと続いています。たとえば、二〇一六年は生まれた子どもが四十六人に対して、亡くなられた方は一一六人。このまま自然減が続くと、次世代を担う若い方がどんどんいなくなってしまうことは明らかです。 ちなみに合計特殊出生率は二〇一五年では、国が一・四五、県は一・四四に対して、湯沢町は一・五六でした。二〇一四年は一・一六で、国や県の数値を大きく下回っていました。 ただし、人口規模の小さい市町村は偶然変動というものの影響を大きく受けます。ですから、この数値は重要視していません。あくまで、生まれる子どもの数が増えることが重要だと考えています。 内閣府の調査では、有配偶者に理想的な子どもの数を尋ねたところ、「二人」と回答した方が一番多いそうです。出産の希望を叶え、子どもがたくさんいる町を目指田村正幸表した消滅可能性都市に湯沢町が指定された大きな理由と言えます。こういったことからも若い世代のU・I・Jターンを促進し、定住人口を確保していくことが重要だと考えています。 湯沢町人口ビジョンでは、将来展望として二〇四〇年に人口六六五〇人を確保するという目標を掲げました。湯沢町の二〇一〇年の国勢調査での人口が八三九六人であり、日本創生会議の二〇四〇年の推計が五二一五人、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)推計が五四六六人ですから、それよりも一〇〇〇人以上、減少を食い止めることが必要となります。魅力とやりがいを感じられる町に 総合戦略の説明に移りましょう。湯沢町総合戦略では六つの基本目標を掲げました。特に力を入れている施策は「魅力にあふれ、やりがいを感じて働くことができるまち」ですが、それは主に雇用の創出を目的とするものです。 まず、企業誘致については、国の地方創生人材支援制度を活用し、民間会社から非常勤特別職として企業誘致推進官を委嘱いたしました。町有地や廃校、廃駅となった施設への企業誘致について担当職員とともに取り組んでいます。 また、新たなチャレンジを支援するということで、企業支援補助金を創設したほか、湯沢町商工会に設置された湯沢町インキュベーションセンターの運営の支援をしています。湯沢町の地方創生への取組みについて湯沢町長す。これは過疎に悩む多くの自治体に共通の願いです。 次に湯沢町の社会動態を見ておきましょう。いわゆる転入数と転出数ですが、湯沢町は一時期、転入数が転出数を下回る社会減の状態でしたが、昨今は差し引きゼロのあたりで推移をしています。 大幅な転出超過ではなく、人口が減らないのは喜ばしいことですが、その中身を見ると安心していられない状況もあります。 二〇一六年の転入・転出数について性別や年齢別に見ると、まず年齢別では六十歳以上の方がたくさん転入している傾向が見られます。これは町内に五十八棟・一万五〇〇〇戸のリゾートマンションがあり、定年退職された方が次に住む場所としてリゾートマンションを購入し、移住してきていることが大きな要因ではないかと思います。 事実、リゾートマンションに住民登録している方は現在一二〇〇名ほどいらっしゃり、月ごとに増えています。もちろん、そのすべてが六十歳以上の方々というわけではなく、若い世代が結婚して住む、町内の方が除雪の心配をしなくてもいいので移り住むといったケースもあります。 一方、性別を見ますと、二十代の女性の転出が顕著なのも特徴です。県外の大学を卒業しても地元に戻らなかったり、町内に就職しても、早期に離職し、転出してしまったりといったさまざまなケースが考えられます。 若い世代の女性が減少し、その結果、子どもの数が少なくなるという悪循環が、二〇一四年に日本創成会議が発湯沢町新潟県10

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