全特 2017年2月特別号
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交流人口を増やし外部評価を高める❶「わが村が一番」といっているだけでは、埒があかない 全国各地の市町村・観光地などに講演などに呼ばれて行きますが、どこも「うちの村はいい温泉があって、すばらしい自然に囲まれ……」といわれます。しかし、「自分のところが一番」と言っていても、しかたがありません。その地域にしかないものを自分たちで発見し、世界にプロデュースしていくことが大切です。❷まず交流人口を増やし、「来訪者に満足いただけること」を民間主導で推進  定住人口よりまず交流人口を増やす。そのための他の地域にはない「キラーコンテンツ」が「日本一の星空」だと捉え、その魅力で「新しく来られる方」を増やす以上に「来ていただいた方に満足いただき、またお越しいただけるコンテンツを」と考えました。 なお、実際に事業運営で実働するのは観光部門のメンバーが多くいても一人か二人。しかも行政には任期や異動があるので、継続的な事業の推進には不向きです。観光業は旬を追求する事業でもあるので、結局、民間のごく少人数で、合意形成せずに突き進むことが大切です。❸十年後、二十年後のファンをつくる お金をもっている高齢者をターゲットにする温泉地もあります。しかし、昼神温泉郷、ヘブンスそのはら、阿智村では「それでは継続性が生まれない」と考え、十年後、二十年後を見据えて若い人にターゲットを絞りました。❹毎日、何かのイベントやっているからこそ人が集まる 「星の事業」については、「観光客の多い週末の星空観察会」ではなく、「ナイトツアー」として開催期間は毎日やっているイベントにしました。阿智村でも「満天の星空」を眺められるのは、月に十日がいいところ。ですから「日本一の星空を見るチャンスがあるナイトツアー」ということを前面に打ち出しています。 当然ながら星の見えない日に来訪者にどう満足していただくかが重要で、音楽や映像を凝らしたコンサートやプロジェクトマッピングなどのコンテンツを充実させています。❺観光に従事していない村民感情を汲み上げる 観光立村を標榜する阿智村でも、村の就業人口の三分の二は観光に従事していません。「なぜ、観光ばかりに村の税金を投入するのか」という村民感情もあるはずです。私たちも「村民に理解されない事業は続かない」と考え、村政全般に関わる地域のプロジェクトに「スターコイン」という地域通貨など星の事業を組み込んでもらうよう働きかけました。 また、一般に地方の人は、都会など外部の評価の高さを知って、自分の地域のすばらしさを再認識するもの。そのため「星の事業」では、たくさんの大手企業と連携し、外部評価を高める施策を進めていきました。Uターン者に着目し、定住人口増に 地域創生の根幹は、村の人口の自然増を期待する前にまず社会増を増やし、定住人口を増やして、その過程でその地域にふさわしい産業を起こしていくことにかかっています。 ヘブンスそのはらも、今では人材を募集すると日々、数十通の履歴書が届くようになってきました。そのなかで私は阿智村出身者に注目しています。阿智村で生まれ育ち、外部の好評価に刺激を受け「阿智村に戻って頑張りたい」と思った人が連携し、さらに飯田、諏訪など周辺地域の連携も踏まえて新しい産業を起こしていくのです。 滞在型観光もその一つ。長野県は沖縄や北海道とは異なり、最初からせいぜい一泊二日の観光地だと思われています。その概念が変わる取組みが必要です。 セミナー抄録「星の事業」を通じて村の将来を描く株式会社阿智昼神観光局社長 白澤裕次2 私は長野県阿智村の阿智昼神観光局の代表であるとともに、スタービレッジ阿智、ヘブンスそのはら(富士見台高原ロープウェイ、スノーワールド)などを運営するジェイ・マウンテンズ・セントラル株式会社の代表を務めています。地域貢献・地域創生の観点から述べると、昼神温泉郷、ヘブンスそのはらを始め観光視点から村の人口減少に歯止めをかけ、かつ地域を創生していくことを「星の事業」で展開しているわけです。 具体的に行っていることは阿智村、当社のウェブページなどをご覧ください。ここでは、これまで取り組んできたことのなかで、「思うところ」をいくつか紹介します。06

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