全特 2017年1月冬号
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収納のヒント 片づけのご相談には、インテリア性や、見た目の美しさを要求されることがあります。 モノを収めるときに、一番重要なのが、取り出しやすいかどうかということです。とかくインテリア性や、見た目を重視する人の片づけでは、とても取り出しにくい収め方をしている場合が多くみられます。取り出しにくいから、当然しまいにくくもあるのです。 収納の基本は、使う時のことを考えてしまいましょう。 保管や保存に腐心するのは、食品と重要文化財くらいで、日常の生活用品や書類、文房具などでは、使う時に取り出しやすいかどうかに重点を置きたいものです。 まずは、どこに何があるか、一目瞭然である収め方です。 前号で、モノを分類するセンスを持つことが大切とお伝えしました。分類されたモノの項目をたどって探します。そして戸棚を開けたら、キャビネットの引き出しを開けたら、一目瞭然に目当てのモノが見えたら探す手間はごく少なく済みます。 もしも、毎日使う書類が、ポケットファイル(ビニール袋状のファイルブック)に収められ、キャビネットの扉を開けてその中の引き出しにあったら、取り出すまでずいぶん不便です。このモノにたどり着くまでの動作を収納アクション数と言いますが、このアクション数が少ないほど取り出しやすくなります。毎日使う書類なら、クリアファイルに挟むだけで机のブックスタンドに立ててという方法で十分。これに分類のインデックス(見出し)があれば、机の上でもすぐに探せます。紙は引き出しに重ねてしまうと探せないため、見出しやあえて立てる収納で仕切っていきます。毎日使うなら、穴をあけて閉じたりせずに、挟むだけでいいわけです。ポケットに入れてファイルすると、この情報が不要になった時に一枚ずつポケットから取り出すのに困った人も多いでしょう。ブック形式のファイルは実は、何度も見直す情報、例えば、住所録やパスワード、出前のお品書きのようなものに限られます。 伝票のようなものは閉じていきますが、これも日付順であったりして時系列で綴じるため一枚ずつその情報を取り出すことは稀ですね。 同じことが生活の各シーンにもあって、丁寧に布でくるみ、箱に収め食器棚にしまったお皿はめったに食卓に登場しません。取り出しにくく、使う時のことを想定していないためです。モノや書類の情報は使われてこそ、収めるときは、開けたら一目でモノが見える視覚化が一番大事です。 クローゼットや、キャビネットならタイトルや洋服そのものが見えるように。引き出しなら重ねずに、引き出した時に奥まで見渡せるように、手前から奥へ並べるのではなく、引き出しを見渡した時に左から右へモノを収めます。そうすれば、引き出しをほんの5センチ引き出してもすべてのモノが見渡せますよね。 クローゼットや本棚なら、いつも左からモノを収めていると、自動的に右に使わないものが押されていきます。モノの処分を考えるときには、この右にたまった衣類や引き出しのモノを再検すると使用頻度も明確になって便利です。プロフィール 夫の転勤に伴い、インドネシア・ジャカルタ、インド・ムンバイ、ニューデリー、メキシコ・モンテレイ、メキシコシティと引っ越し経験25回。さまざまな住まい方の住宅に暮らし整理収納の大切さを体感。主宰のお片づけコーチングStudio HAGAでは快適な暮らしの工夫や整理収納術を提案。家庭訪問型お片づけコーチングでは、700軒の家庭の収納問題を解決。大手総合商社で海外生活アドバイザー研修講師、ハウスキーピング協会整理収納アドバイザー1級認定講師。著書には、「収納のきほん おさらい帖」(小学館)、「子育てママのお片づけコーチング」(PHP出版)など多数。お片づけコーチングStudio HAGAhttp://www.okataduke.net/326

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