全特 2016年10月秋号
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分けるセンス 片づけや整理をするとき、私たちは自然と同じモノとまとめたり、一緒に使う道具をまとめたりしています。なぜなら、使う時に探し出す手がかりとして便利で都合がいいからですね。モノの収納は、使う時のことを考えてすぐに取り出せるというのが大原則です。 人は、物を探す時に、「見当識」という能力でモノを探していきます。 どこにモノがしまってあるか、その場所を、おおよその分類の見当をたどって探しています。見当がつかなくなったら、それは認知症の始まりとも言われています。 見当がつくようにするには、モノをカテゴリーごとに分けてグループを作りますが、この「分けるセンス」も実にさまざま。今回はこの分類センスについて考えてみましょう。 今夜はすき焼きと決まったら、スーパーマーケットの野菜売り場で、牛肉を探す人はいないでしょう。牛肉はきっと肉売り場に、それも牛肉というカテゴリーにまとまっているはずだからそこを探してみようという見当識が働きます。 誰もがわかる分類や見当がつくカテゴリーなら困りませんが、時にはどこに分類されているのかと途方にくれるものもあります。私はメキシコに暮らした時に長い間ヘアドライヤーが買えずに困りました。家電製品売り場を歩き回ってもどこにも見つからず、ある日スーパーマーケットのシャンプー売り場の棚の下にたくさんあるのを発見。 こんな風に、カテゴリーの分類には、自分の見当が違っていることもよくあることです。 情報整理と共有が大切になっている今の時代。職場では書類や、伝票、事務用品などは、どんな基準で分類整理されているでしょうか?自分が探すだけでなく、係や担当者が不在のときも、だれもが探し出せる整理や分類ができていることが大事。不特定多数の人が利用する図書館やスーパーマーケットの分類にはその工夫が随所にみられます。 分類作業は見出しをつけて分けるのですが、まずは何があるのか全体を俯瞰して分類を割り当てなければなりません。 よくオフィスの整理でみかけるのは、小引き出しに中身の内容をラベルで貼って、どこに何がしまってあるかをわかる方法。大事なことですが、意外にもラベルに書き出した品目が少なかったり、多すぎて入りきれなかったりすることがしばしばあります。見出しの割り当ては最後にするのも大事です。 書類に至っては、仕事のプロジェクトというカテゴリーで分ける人、部署によってはプロジェクトを超えて、請求書、企画書だけを分けて集めて保管する人もいるでしょう。 大事なのは、次に使う時のシーンを想定して、どんな分類をたどって書類を探す手掛かりにするかを考え、その目的をもって分け、見出しを付けること大切です。 一時保管から、期間限定への保管、参考資料として閲覧用の書類など分類や見出しのタイトルが決まったら、だれもが予想がつく最大公約数な見出しのタイトルをつけ、同時に、保管期間、破棄、処分日程の明記(モノの賞味期限)、その見直し時期の明記も合わせてしておくことも大事です。プロフィール 夫の転勤に伴い、インドネシア・ジャカルタ、インド・ムンバイ、ニューデリー、メキシコ・モンテレイ、メキシコシティと引っ越し経験25回。さまざまな住まい方の住宅に暮らし整理収納の大切さを体感。主宰のお片づけコーチングStudio HAGAでは快適な暮らしの工夫や整理収納術を提案。家庭訪問型お片づけコーチングでは、700軒の家庭の収納問題を解決。大手総合商社で海外生活アドバイザー研修講師、ハウスキーピング協会整理収納アドバイザー1級認定講師。著書には、「収納のきほん おさらい帖」(小学館)、「子育てママのお片づけコーチング」(PHP出版)など多数。お片づけコーチングStudio HAGAhttp://www.okataduke.net/218

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