全特 2016年7月夏号
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 多くのモノや、たくさんの情報に埋もれている現代社会。住まいや、暮らし方のみならず、仕事の場面でもこの片づけの能力があれば、どんなにいいだろうと思う人も少なくないでしょう。 「片づけ」と言われたときに、女性の方が男性よりも身の回りの整理整頓はうまくできそうな気がします。特に女性の社会進出が進まなかった昔、事務仕事で男性の補助的な作業を担っていたころは、その能力を高く求められていました。「女性だから片づけが上手だろう」という勝手な決めつけです。モノを片づける能力は、家事能力(住まいを整える)だと混同されてきたからかもしれません。 実は「片づけ」の能力は、❶ 物ごとを俯瞰(ちょっと距離をおいて高いところからみる)して、❷ 最終的な片づいたイメージを持ち、その片づけ作業について、❸ 段取りを構築してなくてはならないのです。 最終的なイメージに向けて片づけた家や職場は、その後の維持管理ができ、ちょっとのことでは元の状態には戻りません。 この作業の段取りを決めるのは左脳が大活躍しています。左脳の片づけ力と、女性が得意な右脳の片づけ力には、ちょっと違ったところがあるのです。 家事では、さまざまな事を一度にこなす右脳が働きます。野菜を茹でながら、電話の対応をし、あいた手で子どもをあやしたりと、2つも3つも同時に行います。マルチタスクで大いに右脳が活性化しています。 一方、職場では、最終的なゴールに向けて、段取りを決めて階段を上がるように一歩一歩問題を解決していく作業が多くなります。このときは左脳が働いています。 このマルチタスクを一度にこなすことができる右脳タイプの仕事には、家事以外でも、緊急性を見極める看護師さんの仕事、打てば響くように対応できる接客、感性が大事な芸術家などなどがあります。でも、この右脳が活性化しているような時は、一歩づつ、階段を上がるような論理的な思考が脇に追いやられてしまいます。 手元にあった書類をとりあえずはファイルできるけど、将来その書類をどう保管し、どう活用するのか、どのくらいの期間保管するのかというような俯瞰した見方ができなくなっています。 毎日のマルチタスクだけに終始してしまいそうなときは、現状からちょっと距離を置いて、俯瞰してみる。片づかない理由よりも「どう片づけたいのか」を考えることが大事です。 探す時間を少なくする時間的効果なのか、収納の地代や、二度買いを防止する経済的効果か、自分以外の人とも片づけ先を共有してすっきり見た目も良い状態、精神的効果を目的とするのか。 果たして自分は今、右脳と、左脳どちらで仕事をしているのか? 片づかないのは、どちらの脳が働いているのかをぜひ考えてみてください。プロフィール 夫の転勤に伴い、インドネシア・ジャカルタ、インド・ムンバイ、ニューデリー、メキシコ・モンテレイ、メキシコシティと引っ越し経験25回。さまざまな住まい方の住宅に暮らし整理収納の大切さを体感。主宰のお片づけコーチングStudio HAGAでは快適な暮らしの工夫や整理収納術を提案。家庭訪問型お片づけコーチングでは、700軒の家庭の収納問題を解決。大手総合商社で海外生活アドバイザー研修講師、ハウスキーピング協会整理収納アドバイザー1級認定講師。著書には、「収納のきほん おさらい帖」(小学館)、「子育てママのお片づけコーチング」(PHP出版)など多数。お片づけコーチングStudio HAGAhttp://www.okataduke.net/122

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