全特 2016年7月夏号
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経営のヒント経営コンサルタント 小宮 一慶 (こみや かずよし)1モノの見方・考え方コミュニケーション力を高める 皆さんは郵便局長として毎日忙しい日々を過ごしておられると思います。私は経営コンサルタントで、経営者のコーチだと自分のことを考えています。皆さんの郵便局経営のヒントになることをお伝えできればと思っています。 私は、コミュニケーションというのは「意味と意識」の両方で成り立つと考えています。「伝票の集計をしてほしい」とか「○○さんを訪ねてもらいたい」というのは「意味」を伝えていますが、皆さんにも経験があるように、同じことを言われても好きな人から言われたら喜んでやりたいけれど、嫌な人から言われるとやりたくないということがあります。それは同じ「意味」でも「意識」が違うからです。 ですから、局内の人たちとうまくコミュニケーションをとるためには、普段からの意識の共有がとても大切で、自分から積極的に部下と言葉を交わすとか、時には、飲み会などを行い、「意識的に」意識を共有する機会を持つようにすることもコミュニケーションを良くするうえでとても有用です。 それとともに、皆さんは地域社会を支える役割もお持ちです。郵便局という仕事柄、地域とのコミュニケーションも上手にとっていくことが求められています。これも「意味」と「意識」の両方が必要です。 先日、諏訪で1200年続くと言われる御柱祭を見る機会がありました。御柱祭というと「木落とし」が有名ですが、もちろん、木落としだけで祭が成り立つわけではありません。地元の方にお話を伺うと、木落としの場所までそれぞれの地域から大木を人力で運び上げてくるのです。各地域でそれぞれ1000人がかかわってその木を曳いてくるとのことでした。 また、木落とし会場では、木を落とすまでに木遣りを歌い、ラッパが鳴ったりしますが、地元からの観客の多くはそれに合わせ、身体を動かしたり声を出して声援を送るのです。祭りに参加する人と、会場でそれを応援している人たちが一体になっているのを肌で感じました。まさに意識が共有されているのです。 もちろん、祭りだけが意識の共有の場ではありません。毎日郵便物を届け、地域とのかかわりがとても大きい郵便局として、地域とコミュニケーションをうまくとっていくことはとても大切なことは言うまでもありません。逆に、地域社会とのコミュニケーションがうまくとれているところはやはり業務も順調にいっているのではないでしょうか。うまくいっていないところは、うまくいっているところを参考にするということも大切ですね。 地域でのコミュニケーションが、うまく進みやすい地域とそうでない地域があると聞きます。また、地域のつながりが以前より希薄化しているところも少なくないのも実情です。いろいろな事情があるでしょうが、地域内での「意識」の共有が行われているかどうかがとても大切です。そういう点でも郵便局の役割はとても大きいと思います。経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。 1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業後、東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。この間、93年にはUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)選挙監視員として、総選挙を監視。94年には日本福祉サービス(現セントケア)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。95年に小宮コンサルタンツを設立。2014年、名古屋大学客員教授に就任。幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。新聞・雑誌、テレビ等の執筆・出演も数多くこなす。経営、会計・財務、経済、金融、仕事術から人生論まで、多岐に渡るテーマの著作を発表。その著書100冊以上、累計発行部数は300万部を超える。近著は『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』(ディスカヴァー)。21

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