防災士について

全国の郵便局長が取り組んでいる防災士の活動についてぜひご覧ください。

減災を目指し、ジュニア防災士の育成

静岡県 三川郵便局 八樹和峰局長


静岡県東遠地区会は、お茶どころで知られる静岡県西部に位置し、三川郵便局がある袋井地区はお茶とクラウンメロンの産地として有名です。

静岡県は南側に駿河湾・遠州灘に臨んでおり、東遠地区内の御前崎市には中部電力浜岡原子力発電所が建っています。東海地震が発生する可能性があると言われ始めてから40年が経ちましたが、現在もより広域の南海トラフ巨大地震の発生により、甚大な被害が予想されている地域です。

私は、日本防災士会静岡県支部に所属しています。静岡県支部は、平成21年より活動を開始しました。主な活動は、防災研修会の実施・家具の固定講座・DIG(注1)・HUG(注2)講習・イメージTEN(注3)講習・救急救命講習会・県ボランティア災害図上訓練への参加・そして、今回ご紹介する『ジュニア防災士養成講座』の開催です。

これからの地域を担う子どもたちに、身につく講座を実施

この講座は、地域防災の向上に向けた小・中学生対象の防災教育活動の一つで、災害発生時に、小・中学生が危険を回避できるよう防災の知識と緊急対応・応急救護を、体験を通して身につける講座です。地元の常葉大学の協力を得て講座終了後に地域防災訓練に参加し、レポートを提出の上、県に申請すると静岡県知事より『ふじの国ジュニア防災士』の資格が授与されます。

開催回数もこれまでに20回を超え、多くの子どもたちの防災意識と技術の向上に繋がったと思います。通常は10人から30人ぐらいの人数で実施していますが、中学校の授業として実施したときは100人規模にもなりました。

講座内容は「タウンウオッチング」「紙ぶるる」「非常用コンロの作成」「救急救命法」「防災クイズ」の5つで構成されています。たとえば、「タウンウオッチング」は、地域の地図を見ながら歩き危険な個所を発見し、防災拠点や機材を知ることで災害発生時に自分自身を守る力を養います。「紙ぶるる」は、紙工作を使い家の模型を作り耐震(筋交い)の重要性を学びます。「非常用コンロの作成」は、アルミ缶を利用し簡易コンロを作り非常時にご飯を炊く方法を身につけます。家庭にある材料で作成できると言うところがポイントです。

様々な経験をもとに今後とも、地域の防災意識の向上に繋がる活動を続けていきます。

真剣な表情で「紙ぶるる」を製作中の子どもたち

実際に作った非常用コンロで、ご飯を炊く。
身近にあるものを利用することを学び、もしもの時に備えます


*注1:参加者が地図を使って防災対策を検討する訓練。Disaster(災害)、Imagination(想像力)、Game(ゲーム)の頭文字を取って命名された。
*注2:震災時の避難所運営ゲーム。hinanzyo(避難所)、unei(運営)、game(ゲーム)の頭文字を取って命名された。避難所運営をシミュレーションする机上訓練で、平成19年に静岡県が開発した。
*注3:災害時に、自主防災組織がどのように対応したらいいかを具体的に考えるイメージトレーニングのこと。Image(想像)Training(訓練)&Exercise(演習)of Neighborhood(隣近所)が名称の意味。イメージする課題が最大10題付与されることも「TEN」の由来。